マッサージセラピストになられたばかりの皆さん、マッサージテーブルの購入をそろそろお考えですか?
シドニーのとある理学療法士クリニックで働いているリメディアルマッサージセラピストのザカリと申します。
ザカリ自身もセラピストになったばかりの頃は、どんなマッサージテーブル(ベット)を購入したら良いのか迷いました。
固定式のマッサージテーブル、自分に合ってなくて疲れる
マッサージの施術で強い圧を出せない。体勢が悪いのかな?
既に個人経営でマッサージセラピストとして活躍されていて、お持ちの固定式のマッサージベットを電動式のマッサージベットに変えようと思われている方もなかにはいらっしゃると思います。
この記事でわかること:
- リメディアルマッサージテーブルを選ぶ際に気をつけること
- 電動マッサージテーブルの必要性
- リメディアルマッサージ施術を受けるクライアントのポジション
- 施術時のリメディアルマッサージセラピストの姿勢
*日本語では「マッサージベッド」と言うようですが、海外では「ベット」ではなく「マッサージテーブル」と言います。(睡眠を取るわけではないので、「ベット」というカテゴリーには所属しないということなのでしょうか。)
それでは、一つひとつ見ていきましょう。
リメディアルマッサージテーブル(ベット)を選ぶ際に気をつけること
まず最初にペダルで調整できない固定のテーブルの選び方について説明します。
マッサージベット(マッサージテーブル)を選ぶときに一番大事なことは、自分の身体に合ったものを選ぶことです。
すごく当たり前のことなのですが、購入した後に後悔するセラピストは結構います。(私も過去にそういう経験がありました。)
選ぶ施術テーブルによって、セラピストの施術の良し悪しはある程度決まってしまうのは間違いないので(いや、かなりかも)、マッサージテーブルは慎重に選ばなければいけません。
注目するべきところは、「高さ」と「幅」です。
「高さ」
- テーブルの側面に立ち、手の指関節あたりが当たるほどが適度
- テーブルの脚の高さ調節機能の段階が多ければ多いほど良い(調節幅があればあるほど良い)
「幅」
- クライアントがうつ伏せになった状態で、立ち位置とは反対にあるクラアントの腕に、簡単に触れることができることが重要
*購入の際は、お友達を連れて横になってもらい自分の手の位置を確認するのが一番です。
高さがありすぎると、自分の体重をのせて楽に施術することができなくなるので、必然的に腕の力だけを頼りに施術することになります。
いわゆる「手押し」です。
体重を乗せられずに手と腕だけで圧を入れる施術になってしまいますので、一日の仕事が終わった後は、疲れてクタクタになってしまいます。
また、このような「手押し」体勢の施術は、クライアントに痛い施術をすることにもなりかねません。
双方の立場から見ても良い結果にはならないですよね。
筆者は身長が160cmほどですので、ここオーストラリアでは小柄です。
それに対し、彼らは(オージーは)幅も厚みもあります。(汗)
比較的、女性のクライアントと比べると、男性のクライアントは厚みがあります。このように、体に厚みのある方は、ベットの調節位置を事前に低くしておかないと施術は楽ではありません。
固定のマッサージテーブルを選ぶときは高さと幅に注意して購入しましょう!
リメディアルマッサージ8年歴にはなくてはならない電動式施術テーブル
長くマッサージ師として働くのであれば、電動式のマッサージテーブルはマストアイテムです。
上記の画像は、勤め先の理学療法士クリニックの私の部屋に置いてあるリメディアルマッサージ室のテーブルです。とても使いやすく気に入ってます。
フッドペダルを踏むだけで、上下に簡単に動く施術テーブルは本当に魅力です。
ザカリは、ディプロマ取得後の最初の仕事先がカイロプラクティッククリニックだったのですが、そのクリニックでは固定式でした。それ以降はずっと、理学療法士クリニックで仕事をしてますので、現在のクリニックは全て電動式です。
本当にとても楽です。
筋肉の分厚い方が来られれば、ペダルで「ウィーン」とテーブルを下げるだけ! 瞬く間に、ちょうど良い高さに自動調整です。
セラピストの腰や背中はもちろんのこと、腕や手も全てに対して優しく楽に仕事ができます。電動式の施術用テーブル、決して安くはないですが、おすすめです!
上記の理学療法士クリニックで利用している電動式のマッサージテーブルのメーカーはFORTRESSです。
理学療法士やカイロプラクターなどの器具やテーブルを取り扱っている業者のAstir Australiaから販売されてます。
また、マッセージセラピストだけに特化した Firm N Fold という業者さんですと、電動式だけでなく固定式でも種類が豊富なマッサーテーブルの購入が可能です。
リメディアルマッサージの施術を受けるクライアントの体位
リメディアルマッサージでは、クライアントのマッサージを受ける体位は3つあります。
腹臥位(うつ伏せ)
仰臥位(仰向け)
横向きの姿勢(サイドラインポジション)
横向きの姿勢はリメディアルマッサージの施術に頻繁に出てきます。
そういう意味では、リメディアルマッサージ師は指圧師に似ているところもあります。
また、リメディアルマッサージセラピストになりますと、そのうち妊婦さんのマッサージを依頼されるケースも増えてきます。
ちなみに、妊婦さんのマッサージを「Pregnancy massage」と言います。
妊婦さんの場合、お腹が出てきますと、腹臥位(うつ伏せ)や仰臥位(仰向け)で施術するのは不適切ですので、これも横向きの姿勢でマッサージを行います。
このように、リメディアルマッサージの施術ではクライアントの体制を度々変えるため、長くやっていくのであれば電動式マッサージテーブルが良いわけです。
固定式ですと、クライアントが横になったとき高さが調節できないため、セラピストの身体への負担は大きくなります。
リメディアルマッサージセラピストの姿勢は大事!
最後に、一番忘れがちなトピックですが、マッサージセラピストにとって一番大切なことをお話しいたします。
それは、セラピスト、私たちの施術中の姿勢です。
リメディアルマッサージのコースの2年間、実技の講師はずっとスチューデントの私たちに言い続けてました。
「Body Mechanics」を考えて施術しなさいと。
このボディメカニックとは、日本のマッサージ師が「体重の掛け方は〜」っと、生徒たちに説明する事と基本的には同じです。
要約してみましたので、下記をご覧ください。
施術用のテーブルの高さ
前項目でも説明しましたが、基本的にいちばん重要です。自分に合わない高すぎるテーブルは、手や腕を必要以上に使うことになるので、セラピストのケガの元にもなります。慎重に選びましょう。
スタンス(身構え)
マッサージの施術の姿勢フォームはとても大事です。
ストロークの際は、持っていく手と足の指が同じ方向であることを確かめてから体を動かしましょう。手の方向と違う向きに体が向いていると、セラピストの身体への負担は大きいです。
足先、腰、肩、それから頭の位置全てが綺麗にアライン(ライン化)されているようにしましょう。
注)上記の写真の女性は写真を撮られているため、手に対して顔が全く違う方向に向かっていますが、間違ってもこのようにマッサージをしてはいけません。(笑)
ストロークの仕方
ストロークの仕方にも気をつけなければいけません。
講師たちには、腰の方から肩まで一続きにストロークすることを習いました。
でも、ザカリは経験とともに、少し自己流に変えていきました。教わった通りのストロークは背骨が平らで、「サーっ」と行ける方だけにしてます。
大概は、胸椎のところで分けます。特に胸椎が高く出てる方は胸椎の一番高いところから、下り坂で頸椎まで。そして、胸椎のところから、腰椎までと分けてストロークしてます。
どちらを取っても下り坂になるので、セラピストにはやり易い方式です。これを無視して、低い位置から高い位置に体を動かすのは、「Body Mechanics」に反した方式になります。
よって、腕や手を使う、手押しの施術になってしまうこともあります。
また、両腕は胴体からあまり離さないようにした方が自分の体にはベターです。
両腕が胴体から45度以上の広さが開くと「Body Mechanics」に反した手法となり、「手押し」の施術になってしまいます。
これはセラピストの体を壊す原因になります。
意識しながらフォームをつくっていきましょう。
圧のかけ方
ストロークのやり方はすでにご説明した通りですが、今度はトリガーポイントセラピーについて解説いたします。
リメディアルマッサージのメインのテクニックですね。
やはり圧のかけ方は両腕を胴体からあまり離さないようにし、クライアントの体に自分の体重を乗せながら自然に圧をかけるやり方が良いです。
また、マッサージテーブルをテコの原理として使い、レベレッジをかけて(テーブルに寄りかかり)、クライアントの体の一部分にトリガーポイントセラピーをしたりすることもできます。
一通り説明させていただきましたが、リメディアルマッサージの施術にはそれなりの圧を出すことが必要です。
ですから、もし、日々の施術の際の姿勢が悪い場合には、結果的に圧が入りにくく、セラピストの身体へのストレスは溜まっていきます。
それが、数年なら問題なくやっていけるでしょう。
ですが、何年もこの仕事をする上で「Body Mechanics」をマスターしないでやり続けると、体はいずれ壊れます。
あるアメリカのリサーチによると、「Body Mechanics」をちゃんとマスターした姿勢の良いセラピストが40キロの重圧を出せるのに、同じセラピストが悪い姿勢でマッサージを施すと、なんと、15キロにもならない重圧だったという話しもあります。
リメディアルマッサージセラピストとして長く続けていくには、この「Body Mechanics」をマスターすることにあると思います。
まとめ
この記事では次のことを説明しました。
- マッサージテーブルの購入の際に気をつけること
- 電動式マッサージベットのすすめ
- 施術中のクライアントの体制パターン
- リメディアルマッサージセラピストの施術中のボディメカニック
みなさん、ご自分の身体を大事になさった上で、クライアントさんの身体をケアしていってくださいね。